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花粉症に減感作治療
減感作療法という言葉をご存じだろうか? 読み方は、「げんかんさ」療法。医学用語をはじめ学術用語には、難しいものが多いが、これもそのひとつ。減感作の語の意味を紹介するには、「感作」(かんさ)という言葉の意味から始めた方がいいだろう。1章の「免疫系の桝磨vでは、抗原の侵入によって、ヘルパーT細胞が活性化し、B細胞がプラズマ細胞に変身し、IgE抗体が肥満細胞に結合する様子を紹介した。この状態を感作の成立という。つまり、次にもう一度、抗原が侵入するとアレルギー状態をひきおこす準備ができた状態だ。ということは、減感作は、感作の状態になるのを減らす、ということになる。つまりは、抗原が侵入してもIgE抗体の産出を抑止するのである。そのためには、どうするか? 第1章でも触れたように、IgG抗体を産出すれば、IgE抗体の産出を抑制できる。もうひとつ、Th1型のヘルパーT細胞を誘導するというもの。
 もうひとつ。1章では、複雑になりすぎるので触れなかったが、ヘルパーT細胞にはTh1とTh2の2つがあって、花粉症などのアレルギーを起こすのは、Th2の方なのだ。こちらも、IgE抗体と、IgG抗体の関係と同様、Th1ヘルパーT細胞が活性化すると、Th2ヘルパーT細胞が抑制される。
 減感作療法を行うことによって、上記のどちらか、あるいは両方が身体の中で起こり、最終的にIgE抗体が作られなくなる。
 さて、以上のことがわかった上で実際の減感作療法とは、どういった治療をするのか? それは、スギ花粉のエキスを直接身体の中に入れるというもの。スギ花粉が怖くて仕方がない花粉症患者にとっては、身もだえしそうな話だが、本当。ただし、急激に多量のエキスを体内に入れると、まれにショック状態(アナキラフィシーショック)を引き起こす可柏ォもあるので、最初は少量から始めて、少しずつ増やしていく。これを1年中、数年間続けることで、約4割から8割が完治するという。再発の恐れがないわけではないが、花粉を吸い込んでも症状が出なくなる。1年中、しかも数年続けるということで、かなりの覚悟が必要だが、完全に治したいという人には選択肢の一つになるはずだ。
 エキスを体内に入れるには、日本では皮膚注射が使われている。海外では、舌の下に入れたり、点鼻といった方法で体内に入れる方法も行われているという。
 また、日本ではスギ花粉以外のエキスが標準化されていない、という理由で複数のアレルゲンで症状が出る人には、効果があまり期待できないのも敬遠される理由になっている。さらに、アレルギー専門医が少なく、どこの病院でも減感作療法を受けられるとは限らない。減感作療法は、日本ではこれからの普及が期待される療法といえそうだが、花粉症の症状から解放されたいと思っている人は試してみる価値ありの療法である。



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